ちょっと知りたい住まいのアイデア

家の動線は「家事動線」だけじゃない

MY動線をなぞって、いろんな視点で間取りを見てみましょう

3月、新生活を迎える方はカウントダウンが始まったと感じる季節でしょう。学生や新社会人など賃貸の引っ越しも多い時期ですが、新居を構えたご家族もまた、子どもの新入園や新入学の区切りに合わせたこの時期に移ることが多いようです。新しい家からの通勤・通学が始まることを想像すると気分が高まりますね。朝日の射す寝室で目覚め、ダイニングで朝食をとり、その前後には身支度をして出勤。帰ってきたらリビングで寛いだり、個室で趣味を楽しんだり。

ところで、こういった日々の生活をリアルに思い浮かべることは、楽しいだけではなく新居の間取りを考えるうえでもとても大切です。間取り図を見る時、部屋の広さや形だけで「この家で快適に暮らせるかな?」ということはなかなか判断できないもの。生活のシミュレーションをして様々な移動経路、いわゆる「動線」をたどることが重要な判断材料になります。
「料理をする」「お風呂に入る」「支度して出かける」など、家の中での行動にいくつか種類があるように、動線もあらゆる種類に分けて呼ばれます。動線の中で最もよく重視されているのが「家事動線」。キッチンとダイニングが近くて料理が運びやすい、洗濯機から物干しまでが近い、など、家事動線が短い家は効率的で、毎日の家事負担が軽くなります。


家の動線は「家事動線」だけじゃない イメージ

ほかに、浴室やトイレを利用する時などに通る「生活動線」、各寝室から家を出るまでに通る「通勤(通学)動線」、物を出し入れする時の効率を考える「収納動線」など、フォーカスする行動の数だけ動線は見えてきます。家族ひとりひとりに注目し、「お母さん動線」「お父さん動線」「子ども動線」という見方もできるでしょう。お母さん動線は家事動線として頻繁に取り上げられますので、今回は「お父さん動線」を確認してみましょう。

家の動線は「家事動線」だけじゃない イメージ

この家を建てたお父さんは、休日にはお庭の物入から工具を出してDIYに励んだり、バルコニーで布団干しを手伝ったり、車で出かけたりと、また違った動線を描くのかもしれません。家の間取りは人それぞれのそうした多様なライフスタイルを反映させて作られるのです。今後間取り図を見る際には「この家の中をどう歩いて、どう過ごすか」を想像してなぞってみると、隠れていた価値が見えてくるかもしれません。