ちょっと知りたい住まいのアイデア

乾燥する日は火の用心。見直しておきたい火に強い家づくり

火災防止のためルールが決まっている場所や、木造でも火災に強い家のアイデア

「安心で安全な住まいづくり」と聞けば、地震や台風など自然災害に耐えられる強固な家づくりのことを真っ先にイメージする方も多いでしょう。耐震性や耐風性を図ること、それはもちろん正解です。でももう一点、「火災に強い家づくり」も忘れてはいけません。「出火しない・させない火の用心」はもちろんのこと、万一出火した場合、避難できる時間を十分稼げるような燃えにくい家かが重要になります。また、火元が我が家であれご近所であれ、延焼をいかに防ぎ、被害を拡大させないか。過去の一万坪以上におよぶ大規模火災も、ほとんどの場合火元はたった1軒です。
火災は財産だけでなく、思い出の数々も失います。防火のために、家づくりの際には何ができるでしょうか?


まず家から家への延焼に関しては、町レベルでそれを防ぐため「防火地域」「準防火地域」という場所が指定されています。
「防火地域」

大きな被害につながりやすい、商業施設や幹線道路沿いなどが対象。屋根や柱などの主要構造部が燃えにくい材料でできているかなど、具体的で細かく定められた条件を満たす「耐火建築物」「準耐火建築物」の建物しか建てられないようになっています。いずれも、燃えにくく、災害に強い建築物です。


「準防火地域」

防火地域を囲むエリアで、規定は防火地域ほど厳しくはありません。大きな建築物は耐火化が求められますが、延床面積が500㎡以下の場合なら、一般的な木造2階建ても建築できます。


「屋根不燃区域」(法22条地域)

上記区域外でも延焼防止のため屋根やとなりの家に近い外壁を不燃仕様にするよう定められたエリアです。木造住宅が密集する地域などに指定されます。

例えば駅から近くて便利といっても、市街地内で昔から建物が密集しているようなエリアで新築する際などは、防火のためにこうした規制に従った家にする必要があります。
一方、開発当初から隣地との区画がきちんと区分され、となりの家との距離も整然とした新規開発の住宅団地などは、町としても火災に強いといえるでしょう。万一の際に非常用の避難場所となる公園がある町など、場所選びも安心して暮らすうえでのポイントです。


乾燥する日は火の用心。見直しておきたい火に強い家づくり イメージ

耐火性能のチェック方法

こうした防火・耐火性能や構造は、耐震性や耐用性など他の建物性能と同じく外観を見ただけでは判別できません。分かりやすい判断基準となるのが「住宅性能表示・評価制度」による等級判断です。
住宅性能表示制度は、建物の目には見えない性能10分野を32項目を第三者機関が確認し、レベルの高さに合わせて等級表示することで、誰もがひと目で性能を判断できるようにした制度です。「火災時の安全」分野に関しては、部分別の耐火等級や脱出対策など、7項目の基準があります。


火災保険料もおトク

「耐火建築物」「準耐火建築物」は安全な建築なので、ほとんどの場合火災保険料が安くなっています。他に、2×4工法(派生工法の2×6工法も含む)の家なども「省令準耐火構造住宅」という基準に適合している保険料の優遇を受けられる家です。マイホームを持つにあたって、安全面はもちろん経済面からも「火災に強い家」を選びたいものです。

乾燥する日は火の用心。見直しておきたい火に強い家づくり イメージ