2階建て以上にするなら必須、階段のアイデア
上下階をつなぎ移動するための空間である階段。「LDKはここが良い、2階の部屋割りはこんな感じ。だったら消去法で階段は残ったこのスペースかな?」…などと【移動の途中にあるだけのもの】としてないがしろにしていると、階段に必要なスペースがない、あるいは構造上その場所に階段を配置できないといったことになりかねず、一からやり直しとなるケースがあります。
平屋でない限り、階段にはそれ専用のスペースを確保しなければなりません。安全な階段にするため、勾配や段数などに決まり事もあり、一定の面積を必ず取る関係上、階段の位置によって間取り配置に制約が出てくる場合もあります。階段は空間パズルの大事なピース。「後付け」にせず、ピースがうまくはまるように最初からセットで考えていくようにしましょう。
●階段の種類
ひと口に階段といっても、曲がる回数や形、踊り場の有無、壁や戸を設けたクローズドな階段にするか、視線の抜けるオープンな階段にするかなどにより様々な種類があります。それぞれに安全面や、人・大荷物の移動のしやすさなど、メリット・デメリットがあります。どの階段にするにせよ、滑り止め対策などはご家族の怪我防止の為に最低限の施策が大切です。安全性を上げると同時に見た目アップも叶える方法として、フットライトを設置する、手すりにデザイン性を持たせるなどの方法もあります。
●階段の上
ところで階段というのは、移動の為に上階の床が取り払われています。つまり一種の吹き抜けになっていることもポイントです。たとえば玄関ホールの吹き抜けに階段を組み合わせると、抜けの空間が合体して、より明るくて開放的な玄関回りにすることができます。 LDKに階段をとりこんだ「リビング階段」も近年主流になってきました。視線が抜ける先があると広く感じられ、空間デザインの重要な造形アクセントにもなります。また、階段に必要なスペースを部屋の一部に取り込んでいて空間の節約になるため、狭小敷地でもよく取り入れられています。 注意点としては、空間が広がるため空調効率が下がる、音が筒抜けになるなど、吹抜けと同様のデメリットもあることです。リビングに階段を設けたら床暖房も、といった対策を専門家と相談しながら考えましょう。 階段を上下移動するだけの空間で終わらせず、この光や気配が流れる特性もおさえて家づくりに活かしたいものです。
●階段の下
家には階段のための専用スペースが必要だと述べましたが、階段の下の空間がぽっかり空いたままなのはもったいない限りです。
その空間の代表的な用途は「収納」。踊り場の下をファミリークローゼットとして使ったり、1階昇り口の踏み板の下に引出し収納を潜ませたり、階段状のリズミカルな形を活かして、見せる収納にするのも◎。なかなかの容量が生まれますし、移動途中かつ家族共有の空間にあるのも便利です。
場合によっては、あまり天井高を必要としない「トイレ」や「洗濯室(家事室)」を階段の下に配置しても良いでしょう。踊り場下を書斎や秘密基地のような趣味部屋にするといった方法も良い活用例です。 上下移動の機能、吹抜けの機能、収納の機能、これら階段の特性を生かすことで、お家の可能性はさらにひろがります。いろんなアイデアを盛り込んで、有効活用していきましょう。